日販テクシード株式会社様 導入事例

システムの老朽化をAWS移行で解決、実績ある高可用性製品で短期構築

 日販テクシードは、日販グループのITを担う企業である。日販というと、出版物の流通を担う企業をイメージする人が多いだろうが、現在では「everything around BOOKS(本をとりまくもの、すべてを取り扱う)」というコンセプトを掲げ、出版分野以外でも文具事業、検定事業、ライツビジネス、デジタルコンテンツビジネスと多岐に展開している。

その日販グループの中で、日販テクシードはグループ共通機能としてのITの構築から運用までを担うほか、「本とIT」を起点とした高度な技術力とコンサルテーション力、新しいテクノロジーの開発によるソリューション力を強みとして、出版、医療、教育など様々な業界の課題解決に取り組んでいる。

ジョブ管理ツール用サーバの老朽化対策が契機

 他社と比較し、早期にクラウドシフトに取り組んでいたが、日販グループ事業用システム等の残存するオンプレミス基盤についても、老朽化対策を進める必要性に直面していた。

老朽化対策の対象となったのは、各種日販グループ事業用サーバのバッチ処理(ジョブ)運行管理を担うサーバで、ジョブ管理ツールとしてユニリタの「A-AUTO」を採用している。A-AUTOはメインフレームでは約30年、オープン系では約15年利用してきた。A-AUTOでジョブ管理しているシステムには、店頭在庫状況の検索や商品発注が行える書店様向けサービス、出版物の販売状況を可視化する出版社様向けのサービス、倉庫管理や顧客からの注文受付から商品出荷までを管理する物流システム、日販社内で使うBIツール、商品データベースなどがある。いずれもサービスを止めることができないミッションクリティカルなシステムである。

老朽化対策プロジェクトのリーダーを務めた日販テクシード ITサービスマネジメント本部の神原令氏は、「数多くのリプレイスプランから検討し、最後は三つの案まで絞りました。従来通りオンプレミスで構築する案、クラウド移行&冗長機能を内製する案、クラウド移行&既製品を利用して冗長化する案です。クラウドでの構築はコスト面でメリットがある一方、可用性に課題がありました。後述しますが、単純なクラウドリフトでは我々が求める稼働率を満たせなかったのです。

日販テクシード ITサービスマネジメント本部
アドバイザリー・マネージャー
神原 令 氏

したがって、クラウド化には冗長化で稼働率を維持することが絶対条件でした。
また冗長機能の内製化も選択肢にありました。しかし、クラウドのメンテナンスやOSのアップデートなどの際の運用面で負荷が増えるため、最終的に クラウド移行した上で既製品を利用した冗長化をすることに決めました」と当時を振り返る。

移行先のクラウドとしては、コンサルティングパートナーとしてここ数年利用を増やし、技術・ノウハウの蓄積が進んでいるAWS(Amazon Web Services)を選定した。AWS移行に伴い冗長化が必要となった背景を神原氏は「AWSなどのクラウドサービスでは、ニュースになるような大きな障害が起こることがあります。A-AUTOでバッチ運行を管理しているシステムには、例えば取次の物流処理のようにシステムが止まると商品の発送が遅れてしまう可能性があるものがあります。最も厳しい状況では5分後には次の処理ができないといけません。AWSで起こりうる障害の規模・頻度から弊社システムへの影響をシミュレーションした結果、クラウド化には冗長化による可用性確保が必須という結論に至りました」と語る。

5分の停止が許容最低限というのは一部のシステムだが、全体のバッチシステムの運行という意味でも1時間が許容範囲の限界だった。AWSへの移行と同時に、可用性を担保できるソリューションの導入が不可欠になった。

AWS上でA-AUTO保護の実績があるLifeKeeperを選定

AWSへのクラウド移行・冗長化ソフトの導入を決め、システム構築計画を立てるに当たり、神原氏はA-AUTOとの連携を考えて、A-AUTOの提供元である株式会社ユニリタに相談した。「ユニリタ様には、クリティカルな処理があってAWS移行後もシステムを止められないことを伝えました。A-AUTOを搭載したサーバの冗長化に適した製品として、サイオステクノロジーのLifeKeeperを紹介してもらいました」

同様の機能を持つ他社の冗長化製品とも比較検討したが、最終的にLifeKeeperを選ぶことになる。

その経緯を、プロジェクトでインフラ構築チームのリーダーを務めたソリューションC&I本部の杉本健一氏は、こう振り返る。「当時、冗長構成を組むに当たっての課題は理解していたので、サイオステクノロジーとの打ち合わせの中で課題について問い合わせてみました。すると、その場で技術的な観点で回答がありました。第一印象でAWSのことをわかっている会社だという信頼感を持ち、このツールであれば安全に移行・運用できると思いました」

日販テクシード ソリューションC&I本部
アドバイザリー・マネージャー
杉本 健一 氏

「加えて、LifeKeeperAWS×A-AUTO環境での実績があったことも、決断を後押ししてくれました」(神原氏)ツールの性能・技術者のレベル・実績を総合し、サイオステクノロジーのLifeKeeperを選んだのだ。

日販テクシードにLifeKeeperを紹介したユニリタでプロダクトサービス事業本部 ビジネスオートメーション部 カスタマーサクセス第二グループ リーダーを務める渡辺勇樹氏は、「A-AUTOは、日販グループで基幹システムとして大規模にお使いいただいています。それだけに、日販グループで安心してご利用いただける構成として、実績のあるLifeKeeperを紹介しました。Windowsのクラスターソフトなどで対応する方法もあるかもしれませんが、サポート面やユニリタとサイオステクノロジーでタッグを組んで検証できる点などから、LifeKeeperに優位性があると判断しました」と提案の背景を語る。

ユニリタ プロダクトサービス事業本部
ビジネスオートメーション部
カスタマーサクセス第二グループ リーダー
渡辺 勇樹 氏

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導入手順のノウハウを自社に残しながら構築

AWSでの新環境構築・現行機能のリプレイスは当初計画通り20212月から6月にかけて、LifeKeeperで冗長構成を組みながら全面移行することができた。

杉本氏と一緒にインフラ構築に関わった新井聡史氏は、「A-AUTOの環境をAWS上に構築する点では苦労はありませんでした。ただし冗長構成を組むためのLifeKeeperのインストールでは想定外の事象も発生しました。その際にはサイオステクノロジーに手厚くフォローして頂き、ノウハウを蓄積しつつ導入を完遂できました」と語る。

日販テクシード ソリューションC&I本部
新井 聡史 氏

実装に当たっては、複数の冗長化対象サーバのうち最初の2セットはLifeKeeper導入サービスを使ってサイオステクノロジーに構築を依頼し、残りは自社で構築する方法を採った。「コストを抑える側面もありますが、LifeKeeperの導入技術を自分たちのものとして残しておくための対応でした」と杉本氏は語る。多少の苦戦は、ノウハウを自社に持つことを選んだ結果なのだ。

 実際に運用を開始してから数カ月、実稼働中にLifeKeeperが発動するような障害は起こっていない。「現時点では、移行してからも業務は安定して運用できています」(神原氏)。とは言え、「移行前の検証で、処理の実行中にトラブルがあっても待機系にスムーズに切り替わることが実証されていますし、継続して運用できる準備は整っています。5分以内には切り替わるので、業務に支障はないと考えています。アベイラビリティゾーン(AZ)に障害が起きても大丈夫という安心感は大きいです」と神原氏はLifeKeeperによる冗長構成の信頼性を評価する。

 また、運用上での有効な使い方もある。A-AUTOのメンテナンス時に、いったん待機系に切り替えてメンテナンスを実行し、終了後に稼働系に切り戻すときにLifeKeeperを使っているという。「画面のボタンが視覚的にもわかりやすく、稼働系を止めて、待機系を動かすといった操作が確認しながらできます。きちんと切り替わることも体感しています」(神原氏)。

インフラ保守運用チームのマネージャーを務める石井稜氏は、「LifeKeeperを今後運用していくにあたりサイオステクノロジー様に手順書を作成いただきましたが、しっかり作られていてわかりやすかったですし、こちらから依頼した文言の修正などにも迅速に対応してもらえて高品質なサービスを受けられたと感じています」と補足する。

日販テクシード ITサービスマネジメント本部
アドバイザリー・マネージャー
石井 稜 氏

神原氏は「クラウド移行に当たってのリスク回避策の一端をLifeKeeperに担ってもらっています。実績のあるツールのため、短期間で構築・移行を行うことができました」とLifeKeeperを選んだ判断の成果を振り返る。

今後も、日販テクシードではオンプレミスで稼働している他のシステムのクラウド移行が計画されている。そうしたときには、社内にLifeKeeperの導入技術を蓄積しているだけに、「LifeKeeperなら自社で導入できるので、冗長化を低コストで自社対応できます。今後の選択肢が広がったと思っています」(杉本氏)というように、LifeKeeperの活用の幅がさらに広がっていきそうだ。

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日販テクシード株式会社様

業種 情報通信業
導入環境 クラウド(AWS)
導入システム ジョブ管理システム
所在地
東京都中央区日本橋浜町3-3-2 トルナーレ日本橋浜町 オフィス棟4F
設立日
1978年12月12日
従業員数
250名(2021年4月現在)
ホームページ
https://www.techceed-inc.com/