BIPROGY株式会社様 導入事例

地域金融機関のDXを支えるクラウド勘定系へ 東西リージョンで実現したレジリエンス強化

少子高齢化や人口流出、地域経済の構造変化など、地域金融機関を取り巻く環境は大きな変化にさらされている。制度対応の高度化やデジタル技術の進展への対応も求められ、持続可能なシステム基盤の構築が必要だ。BIPROGYは、こうした地域金融機関の課題に対して、共同利用型の勘定系サービス「OptBAE」(banking system service Optimizing cost structure and as a Business Assist Engine)を提供している。

これまでのOptBAEは、オンプレミスのインフラで提供してきた(OptBAE1.0)。
BIPROGYでは、BCP(事業継続計画)への対応などレジリエンスの高度化や安定したシステム運用基盤の提供を目指し、OptBAEのクラウド化を推進してきた。クラウド環境で共同利用型勘定系サービスを提供するのがOptBAE2.0だ。その重要な構成要素となったのが、サイオステクノロジーのデータレプリケーションソフト「DataKeeper」だった。

地域金融機関のDXを支える共同利用型勘定系サービス

OptBAEは、主に信用金庫に向けて共同勘定系サービスを提供している。ファイナンシャルサービス第二本部 OptBAEサービス部 担当部長の遊佐大介氏は、「地域金融機関も、顧客の口座情報を管理・更新するための従来のIT投資から、DX推進やフィンテック連携などに向けた顧客満足度向上に寄与するような新しいIT投資への変革が求められています。

コストを抑えながら、新しいIT投資を実現できるように、共同利用型の勘定系サービスを提供するのがOptBAEです」と説明する。複数金融機関でIT投資を分散してコストを最適化しつつ、金融機関ごとの独自サービスにも対応できる基盤として、OptBAEは多くのユーザーを獲得してきた。

BIPROGY ファイナンシャルサービス第二本部 OptBAEサービス部 担当部長 遊佐大介氏

BIPROGY ファイナンシャルサービス第二本部 OptBAEサービス部 サービス五室長 奥村将行氏

ファイナンシャルサービス第二本部 OptBAEサービス部 サービス五室長の奥村将行氏は、「OptBAEは、3階層で構築しています。業務アプリケーションを提供するレイヤーと、システム基盤のレイヤー、運用ファシリティーのレイヤーです。下位のシステム基盤と運用ファシリティーは共通サービスとして提供しながら、アプリケーションは共通アプリケーションだけでなく、カスタマイズしたアプリケーションも利用できる構成です」と語る。

 

このようにOptBAEは、勘定系システムのコスト最適化だけではなく、顧客との接点になる独自のチャネル系システムの実装や強化などDX推進にも貢献する。実際、チャネル系サービスとの連携が拡大しており、営業店業務の効率化サービス「COCOMFY」や、非対面チャネルのバンキングアプリ「#tsumuGO_mobile」の採用が進んでいると遊佐氏は言う。ある信用金庫からは、個人向けサービスとして提供する#tsumuGO_mobileの利用者数が増加して、顧客利便性の向上・コスト削減につながったと感謝の声が上がるという。DX推進の1つの成果と言える。

クラウド化で目指したレジリエンスと持続的な進化

一方で、OptBAEが従来型の勘定系システムだけでなく、バンキングサービスなどの新しい勘定系サービスも提供する基盤として活用されるようになると、求められる可用性も変化してくる。遊佐氏は、「例えば、地域金融機関における顧客接点の大部分は営業店が開店している日中時間帯のみでしたが、バンキングアプリを利用するようになると顧客接点が24時間に拡大します。データを大事に守るだけでなく、データをいつでも使えることに責任を持たなければならないのです。守りながら使い続けるという新しい考え方の可用性が求められるようになりました」と語る。

サービスプラットフォーム本部 アドバンスドインフラサービス部 基盤技術一室長の佐々木惣一郎氏は「OptBAE1.0は、ホストで稼働していた勘定系システムをオープン化して共同利用を実現しました。お客様から喜びの声をいただいていますが、基盤はオンプレミスでありレジリエンスの高度化には対応できていませんでした。そこで、オンプレミスのOptBAE1.0から、クラウド型でサービスを提供するOptBAE2.0に移行する大プロジェクトを実施することにしました」と変革の経緯を語る。クラウドのメリットを生かし、地域金融機関が業務特性や戦略に合わせて活用できる基盤へ進化させる狙いだ。

クラウド型で提供するOptBAE2.0では、大きく4つのメリットを目指した。第1がオペレーショナル・レジリエンスの高度化だ。Microsoft AzureIaaSとして利用し、東日本リージョンと西日本リージョンをまたいで、有事には西日本リージョンへ素早く切り替えられる構成を採用している。第2がハードウェア更改を前提としない安定運用、第3が顧客利便性向上や業務高度化に向けた先進性、第4が事業成長に合わせた拡張性である。

Azureを基盤とすることで、OptBAE2.0はこれらの付加価値を地域金融機関に提供できるようになる。

オペレーショナル・レジリエンス向上を支える東西リージョン構成

OptBAE2.0Azureで構築するプロジェクトに先行して、銀行向けのオープン勘定系システム「BankVision」がAzureへの移行を実施していた。佐々木氏が所属するアドバンスドインフラサービス部ではBankVisionAzure化も手掛けていて、オペレーショナル・レジリエンスの高度化には先行プロジェクトの知見も生かせる。

BankVisionでは、可用性を担保するためにクラスター構成を採用していた。その際に利用したのがサイオステクノロジーのデータレプリケーションソフトのDataKeeperだった。BankVisionでは、Azureの同一リージョン内でクラスター構成を組んでいる。構築当時はDataKeeperが不可欠だったが、Azureも進化して共有ディスクサービスとしてAzure Shared Diskが提供されるようになった。

 

BIPROGY サービスプラットフォーム本部 アドバンスドインフラサービス部 基盤技術一室長 佐々木惣一郎氏

それでは、OptBAE2.0の要件を踏まえるとどうか。佐々木氏は「Azure Shared Diskは、BankVisionのように同一リージョン内のクラスター構成は実現できるようになりました。しかし、OptBAE2.0では東日本リージョンと西日本リージョンをまたいだクラスター構成を想定していて、Azure Shared Diskでは対応できません。検討した範囲では、DataKeeperがリージョンをまたいだクラスター構成を実現できる有力なソリューションでした。そこでBankVisionで安定した運用実績があったDataKeeperを採用することにしました」と振り返る。

サービスプラットフォーム本部 アドバンスドインフラサービス部 基盤技術三室の田村謙介氏は、「最も大切なことは、エンドユーザー(ATMの利用者、インターネットバンキングの利用者、金庫窓口の職員など)からのオンライン処理がロストデータなしで速やかに切り替わることです。業務のバッチ処理は切り替わりに時間の猶予があります。勘定系のデータベースとして使用するSQL Serverでは、Always On 可用性グループ(AG)の機能により、オンライン処理で使用するデータベースを短時間かつロストデータなしで切り替えることができます。

一方、運用管理ソフトウェアが内部使用するディスクやDBでロストが生じると、どこまで処理が進んだかがわからなくなり大きなトラブルにつながります。具体的には統合システム運用管理を担うJP1のジョブネット実行、実行監視のデータベースのクラスター化に、DataKeeperを採用しています」と語る。勘定系システムとして最も要件がシビアな運用管理のクラスター化に、DataKeeperがぴったりフィットした形だ。

同期レプリケーションの課題を運用でカバー

導入に当たっては、事前の検証期間を設け、負荷試験を実施して運用に耐えることを評価した。Azure基盤内でのDataKeeperのテストは問題なく、導入が進められた。

一方で、1点だけ課題が残った。勘定系システムでは日をまたぐ切り替え処理(日付繰越処理)で多くのジョブを実行しており、その間はオンライン処理を一時的に滞留させている。DataKeeperによるディスク同期を、リージョンをまたがって構成すると、日付繰越処理内のJP1ジョブの処理時間が長くなることが想定された。

BIPROGY サービスプラットフォーム本部 アドバンスドインフラサービス部 基盤技術三室 田村謙介氏

「日付繰越処理のJP1ジョブの実行時間が長くなると、オンライン処理にタイムアウトが発生してしまいます。日付繰越処理時間の性能要件を満たすことが優先されるため、解決策をサイオステクノロジーのエンジニアとも議論して探しました」(田村氏)。実際には、日付繰越処理を優先するため、DataKeeperを中断して非同期の時間帯を設けることで要件を満たすことにした。

「サイオステクノロジーからはDataKeeperの中断、再開のコマンドを教えてもらい、同期から非同期、同期への復帰の制御が実装できました。さらに、非同期の数分間に対しては、東西リージョン間の切り替え処理が必要になったときの運用手順書を整え、データロストゼロを技術と運用の両面から支えています。リスクを認識した上で、稼働環境を整備することが不可欠です」と佐々木氏は金融機関向けのシステムならではの苦労を語る。

DataKeeperで実現した東西リージョン同期

OptBAE2.0は、東京都台東区に本店を置く大手信用金庫の朝日信用金庫が第一号ユーザーとなって、20265月から稼働を始めている。ゴールデンウィーク中に基盤を更改し、以降、安定稼働を続けている。「煩雑になる月末の処理も乗り越えて、DataKeeperに起因する障害も含めて問題なく動いています」(佐々木氏)。仮に東日本リージョンが全面的に障害で停止しても、データロストゼロでバックアップしていた西日本リージョンが継続して稼働できるシステムが提供できることで、OptBAE1.0になかったレジリエンス高度化の要件を満たせるようになった。

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東西リージョンをまたいだOptBAE2.0の構成図

朝日信用金庫の採用に続いて、20271月には異なる信用金庫でOptBAE2.0が稼働する予定だ。現時点で、11の信用金庫がOptBAE1.0から2.0への移行を進めている。奥村氏は、「これらの移行により、OptBAE1.0から2.0でレジリエンス対策が大きく高度化された恩恵を金融機関が受けられるようになります。DataKeeperの活用範囲が確実に広まっていくと考えています」と語る。佐々木氏も、「東西リージョンで完全にデータを同期してBCP強化するサービスは、国内で例を見ません。自信を持って価値を語れるサービスになりました」と胸を張る。

パートナーとしてOptBAE2.0の構築を支えたサイオステクノロジーについては、「解決したいところに親身に対応してもらえました。DataKeeperに何か起きても、サイオステクノロジーに支援してもらえれば解決できると思える、心強いパートナーです」(佐々木氏)と評価する。

それだけに、今後について田村氏は「サービスをより良いものにしていきたいと思います。日をまたぐ処理で現在は数分間とは言え、自動同期を切る運用をしていて、この改善は1つの目標です。サイオステクノロジーの力も借りて実現していきたいです」と力を込める。

遊佐氏は、「勘定系システムは、コスト最適化だけでなくデータ活用や外部連携、AIによるデータ分析などにも活用することで、地域金融機関の持続可能性を高めることに貢献できます。金融機関が守りから攻めに転換する手助けを、OptBAE2.0で続けていきたい」と語った。

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BIPROGY株式会社様

業種 情報通信業
導入環境 クラウド
導入システム 勘定系システム
所在地
東京都江東区豊洲 1-1-1
設立日
1958年3月29日
従業員数
連結: 8,801名(2026年3月31日現在)
単体: 4,359名(2026年3月31日現在)
ホームページ
https://www.biprogy.com/