株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)様 導入事例
ミッションクリティカルで最高レベルの信頼性が求められる FXサービスを支えるLifeKeeper
金融システムは障害発生時でも一瞬の停止も許されない。このミッションクリティカルで高い信頼性が要求される外国為替証拠金取引(FX)サービスを持つ株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)。彼らのASP型FXシステム「IIJ Raptorサービス」にHAクラスターソフトウェアLifeKeeperが採用された。LifeKeeperの採用により、リアルタイムに変化する金融市場で求められる高可用性を実現し、同時に運用管理コストの削減をすることができた。
ASPの可用性向上と運用負荷低減が課題
2010年11月に発表された「IIJ Raptorサービス」(以下、IIJ Raptor)は、みずほ証券株式会社やカブドットコム証券株式会社といった金融機関が提供するFXのサービスを支えるシステム基盤となる製品だ。営業部 FXシステム担当の安生光一氏は、「IIJ Raptorは複数の市場に対応すべくIIJが独自開発したASP型サービスです。ハイブリッドメモリデータベースを採用し、取引における各処理を同時並行で処理するアーキテクチャーを実装しており、毎秒1,000件以上の約定処理を実現することができます」と製品の特長を説明する。
金融システム事業部
営業部 FXシステム担当
安生 光一 氏
IIJは、ネットワークやデータセンターといったサービス基盤と10年来培ったノウハウを活用した運用基盤をベースに、金融業界のネットビジネス、および基幹システムのITインフラのインテグレーションとアウトソーシングを提供しているため、顧客は余分なIT資産を持たずに、ASP型FXシステムの構築ができるのである。サービスの開始以降、順調に顧客を拡大してきたIIJ Raptorだが、運用管理の効率をさらに高めたいという課題があった。
「金融業界のシステムは、一瞬の停止も許されないので、データベースは冗長化し、障害発生時でも瞬時の切り替えが可能なように常に同期しながらActive-Activeで運用しています。当初、仮想IPの切り替え用にOSSの製品を利用していましたが運用には知識と経験が必要でトレーニングに時間がかかったほか、コマンド管理による手間やソフトウェアの問題解決には自らソースコードを確認して対応しなくてはならないなど、負荷が発生していました」と、エンジニアの友岡将紘氏は話す。
導入と初期設定が簡単なのでわずか1カ月の短期導入を実現
より業務効率及び信頼性を高めるべく、IIJではHAクラスターの利用を検討した。エンジニアの北東慎一郎氏は、選定の経緯を次のように語る。「他社製品も比較しましたが、すでに当社の他のサービスでLifeKeeperが利用されている実績があり、社内にナレッジが蓄積されていましたのでLifeKeeperを優先的に評価しました。LifeKeeperのインストール手順は非常に簡単であり、チューニングも容易なので利用開始まではわずか1カ月という短期導入が実現しました。当社はデータベースが特殊なため、追加の開発を自身で行いましたが、苦労する点もありませんでした」
金融システム事業部
プロフェッショナルサービス部
プロフェッショナルサービス4課
エンジニア
北東 慎一郎 氏
金融システムの業務アプリケーションはミッションクリティカルであり、高い信頼性が求められる。そのために多数の項目でテストを実施した点を友岡氏は強調する。「LifeKeeperは多機能で、物理など下のレイヤーからトータルに監視できますが、当社では基本的な機能であるステータス監視と、高速なIPの切り替えが導入目的でしたので、これらの動作を重点的に確認しました」
管理工数を大幅に削減。統合基盤監視にはLifeKeeperが適任
LifeKeeperの利用によって、課題であった人的な負荷が改善されたことを北東氏は実感していると話す。「LifeKeeperはコマンドでの管理も可能ですがブラウザによるGUIでの管理は使いやすいと感じています。おかげで日常的な監視系業務の負担が非常に軽くなりました。またLifeKeeperは習熟するのも容易なので、運用に乗せるまでの時間の大幅な短縮が実現しました」(北東氏)
友岡氏は業務効率全体の観点で「工数を削減でき、事業継続性を高めるミドルウェアの利用が必要だと感じていました。ミッションクリティカル領域では、低レイヤーでの冗長化を実現する仮想化のHAやFT(fault tolerance)といった技術だけでは不足があります。上位レイヤーを監視、制御可能な技術と組み合わせて利用することが必要で、LifeKeeperのようにミドルウェア以上の制御を可能とする製品の必要性は今後も変わらないと考えています」と説明する。
サービスのさらなる発展にサイオスが貢献していく
このように、LifeKeeperによってIIJ Raptorの可用性や信頼性のさらなる向上が実現した。「サイオステクノロジーのサポートは迅速で、経験豊富なので心強いです。システムについて不満点はまったくありません」と友岡氏は高く評価する。
IIJ Raptorは今後、対応する市場をより拡大してグローバルに活用されるシステムへと成長していく予定だ。「より信頼性が高まったシステムを武器に、FX以外の金融商品の市場にも拡げていきたいです」と安生氏は抱負を語った。
金融システム事業部
プロフェッショナルサービス部
プロフェッショナルサービス4課
エンジニア
友岡 将紘 氏
LifeKeeperでは「VIP」(仮想IPアドレス)を管理しており、障害発生時は「VIP」を移動させることで、アプリケーションの接続先をActiveノードへ変更。
DB01とDB02におけるデータベースの一貫性については、Altibaseの完全同期機能(レプリケーション)によって担保している。(Altibaseは両系統で稼働し続ける)
株式会社インターネットイニシアティブ様
業種 | 情報通信業 |
---|---|
導入環境 | オンプレミス |
- 所在地
- 東京都千代田区富士見2-10-2 飯田橋グラン・ブルーム
- 設立日
- 1992年12月3日
- 従業員数
- 連結4,451名 単体2,475名
- ホームページ
- https://www.iij.ad.jp/